受託会社とフリーランス、アプリ開発はどちらに頼むべきか【費用・期間・リスク・保証で比較】

受託会社とフリーランス、アプリ開発はどちらに頼むべきか【費用・期間・リスク・保証で比較】
目次

公開日:2026年10月2日 最終更新日:2026年10月2日

アプリ開発の発注先は、受託開発会社とフリーランスエンジニアの大きく2つに分かれます。
費用はフリーランスのほうが安く、人月単価で受託会社の半分〜7割程度に収まります。

一方で、受託会社は企画からテスト・保守まで一括で対応でき、途中離脱のリスクが低く、検収後の保証が契約で定められているのが普通です。
要件とデザインが固まっていて、社内にコードの品質を確認できる人がいるならフリーランスが合理的で、要件が固まっていない、長期運用する、途中で止まると事業に影響が出るアプリなら受託会社が安全です。

この記事では、受託会社とフリーランスを費用・期間・対応範囲・リスク・保証・保守の6軸で比較し、自社の状況からどちらを選ぶべきかを判断できるフローチャートと、よく聞かれる質問をまとめました。

費用の相場や見積書の見方そのものは、別記事「アプリ開発の費用相場と見積書の読み方」で解説しています。

受託会社とフリーランスの比較表

どちらが優れているかではなく、何を優先するかで決まります。
まず全体を一覧で見てください。

比較軸受託開発会社フリーランスエンジニア
費用高い。人月単価80〜150万円程度。企画・デザイン・PM・テストの人件費が乗る安い。人月単価50〜100万円程度。実装に特化すれば受託会社の半分〜7割
期間複数人で並行作業できるため、中〜大規模では短い1人で担当するため、規模が大きくなるほど長期化する
対応範囲企画・デザイン・実装・テスト・審査対応・保守まで一括で対応実装中心。企画・デザイン・テストは発注者側で用意するか、別途手配が必要なことが多い
リスク担当者が変わっても会社として継続できる。契約・NDA・瑕疵対応の体制がある病気・多忙・廃業で途中離脱すると引き継ぎ先がない。コードの品質が個人の力量に依存する
保証・不具合対応検収後の保証期間(3〜6ヶ月が一般的)が契約に明記される保証期間が定められていないことが多い。検収後の不具合は都度相談・都度請求になりやすい
保守保守契約として継続できる継続して引き受けてもらえるかは個人の都合次第
向くケースアプリを事業の柱にする、要件が固まっていない、長期運用する、社内にエンジニアがいない要件とデザインが固まっている、社内にエンジニアがいて品質を確認できる、小規模で短期間

人月単価は2026年時点の国内相場に基づく目安で、スキルや地域によって変わります。

各発注先の詳細

1. 受託開発会社

特徴

企画・デザイン・実装・テスト・審査対応・保守を、会社として一括で引き受ける発注先です。
PM(プロジェクトマネージャー)が窓口になり、複数のエンジニアやデザイナーが分担して進めます。

メリット

  • 要件が固まっていない段階から、企画や要件定義の相談に乗ってもらえる
  • 複数人で並行して作業できるため、中〜大規模のアプリでも期間を短くできる
  • 担当者が退職・異動しても、会社として開発と保守を継続できる
  • 契約書・NDA・検収後の保証期間が整っており、不具合対応の条件が明文化される
  • リリース後の保守を、保守契約として長期的に任せられる

デメリット

  • 人月単価が高く、企画・PM・テストの人件費が上乗せされるため、同じアプリでもフリーランスより総額が高くなる
  • 会社によって得意分野や品質にばらつきがあり、営業担当と実際の開発チームの温度差が出ることがある
  • 小規模な案件では、受託会社側の最低受注額に届かず断られることがある

向いているケース

アプリを事業の柱として長く運営する、要件がまだ固まっていない、社内にエンジニアがいない、途中で開発が止まると事業に影響が出る、という場合です。

2. フリーランスエンジニア

特徴

個人のエンジニアに直接依頼する発注先です。
実装を中心に引き受けることが多く、企画やデザインは発注者側で用意するか、別途デザイナーなどを手配する形になります。

メリット

  • 人月単価が安く、受託会社の半分〜7割程度の費用で済む
  • 発注者と直接やり取りできるため、意思疎通が早く、小回りが利く
  • 経験豊富なフリーランスであれば、受託会社のエンジニアと同等以上の品質で作れる
  • 小規模・短期間の案件でも引き受けてもらいやすい

デメリット

  • 1人で担当するため、規模が大きくなるほど期間が長くなる
  • 病気・多忙・廃業などで途中離脱した場合、引き継ぎ先がなく開発が止まるリスクがある
  • コードの品質が個人の力量に依存し、発注者側に品質を確認できる人がいないと判断できない
  • 検収後の保証期間が定められていないことが多く、リリース後の不具合は都度相談・都度請求になりやすい
  • 保守を継続して引き受けてもらえるかは個人の都合次第で、数年後に連絡が取れなくなることもある

向いているケース

要件とデザインが固まっている、社内にエンジニアがいてコードの品質を確認できる、小規模で短期間、という場合です。
逆に、要件が固まっていない段階でフリーランスに依頼すると、仕様の相談相手がいないまま進むことになり、手戻りが増えます。

判断フローチャート:自社はどちらに頼むべきか

上から順に答えていくと、自社に合う発注先にたどり着きます。

  1. アプリを事業の柱として長く運営し、途中で開発が止まると事業に影響が出ますか?
    1. → はい:受託会社
    2. → いいえ:次へ
  2. 要件(画面一覧・機能一覧)とデザインは固まっていますか?
    1. → いいえ:受託会社(要件定義から相談できる発注先が必要)
    2. → はい:次へ
  3. 社内にエンジニアがいて、納品されたコードの品質を確認できますか?
    1. → はい:フリーランス
    2. → いいえ:受託会社(品質を会社として担保してもらう)

もう一つ、組み合わせるという考え方があります。
要件定義とデザインだけを受託会社に依頼し、固まった仕様をもとに実装をフリーランスに頼む方法です。
費用を抑えつつ、要件の抜け漏れを防げますが、受託会社とフリーランスの間で責任の切り分けが曖昧になりやすいので、納品物と保証の範囲を双方の契約で明記しておく必要があります。

発注前に確認すべきこと

受託会社・フリーランスのどちらに頼む場合でも、契約前に次の4つを確認してください。
特にフリーランスに依頼する場合は、契約書がない・簡易なことが多いので、メールでも構わないので文面に残しておきます。

確認項目受託会社の場合フリーランスの場合
納品物の中身ソースコード・設計書・デザインデータ・ストアアカウントの権限が含まれるか契約書で確認口頭で済まされやすい。特にソースコードの引き渡しとストアアカウントの名義を必ず確認
仕様変更の扱い変更の受付回数・範囲・追加費用の算定方法が契約に書かれているか「気軽に直せる」と思いがちだが、無償の範囲を事前に決めておかないと後からもめる
検収期間と保証検収期間(2〜4週間が目安)と保証期間(3〜6ヶ月)が明記されているか保証期間がないことが前提。検収後の不具合修正を有償・無償のどちらにするか先に決める
途中離脱時の対応担当者交代時の引き継ぎ体制を確認離脱時にソースコードと進捗を引き渡してもらう取り決めをしておく

よくある質問

受託会社とフリーランス、結局どちらが安いですか?

人月単価だけならフリーランスが安く、受託会社の半分〜7割程度です。
ただし、企画・デザイン・テストを発注者側で用意する必要があるため、それらを別途手配すると総額の差は縮まります。
要件が固まっていない場合は、手戻りが増えてフリーランスのほうが高くつくこともあります。

フリーランスに頼むのはリスクが高いですか?

リスクの種類が違うだけで、一概に高いとは言えません。
フリーランスのリスクは途中離脱と品質の個人依存、受託会社のリスクは費用の高さと営業と開発の温度差です。
フリーランスに頼むなら、途中離脱時の引き渡しと検収後の不具合対応を事前に文面で決めておけば、リスクの大半は抑えられます。

受託会社に頼めば必ず安心ですか?

そうとは限りません。
受託会社でも、見積りに企画・テスト・保証が含まれていないことはあります。
会社の規模ではなく、納品物・仕様変更・検収・保証の条件が明記されているかで判断してください。

途中でフリーランスから受託会社に切り替えられますか?

切り替えられますが、ソースコードと設計の引き継ぎが必要です。
フリーランスが書いたコードを受託会社が引き継ぐ場合、コードの状態によっては一部作り直しになることがあります。
最初からその可能性があるなら、納品物にソースコードと設計書を含める取り決めをしておいてください。

要件定義だけ受託会社に頼むことはできますか?

できます。
要件定義・デザインを受託会社に依頼して仕様を固め、実装をフリーランスに頼む組み合わせは、費用と品質のバランスを取る方法として現実的です。
ただし責任の切り分けが曖昧になりやすいので、双方の契約で納品物と保証の範囲を明記してください。

弊社に依頼すべきケース、しなくていいケース

最後に弊社の話をします。

先に、弊社に依頼する必要がないケースから書きます。
要件とデザインが固まっていて、社内にコードの品質を確認できるエンジニアがいて、小規模で短期間のアプリなら、フリーランスに実装だけを頼むほうが合理的です。
弊社に頼む必要はありません。

弊社が向いているのは、要件定義からリリース後の保守まで一括で任せたい場合、途中で止まると事業に影響が出るアプリを、保証付きで安定して開発・運用したい場合、そして要件定義だけを依頼して実装は別の発注先に頼む、といった組み合わせを相談したい場合です。

自社のアプリをどこに頼むべきか、30分で診断しています。
相談だけで終わっても構いませんので、お気軽にお声がけください。


記事を書いた人 山田卓
山田卓(Taku Yamada)。 init株式会社 代表取締役。 テモナ株式会社で法人営業に従事、Repro株式会社でテクニカルサポートを担当した後、スマホアプリエンジニアとして個人事業を開業し、2019年にinit株式会社を創業。 現在は15名以上のエンジニアが在籍するSES事業を軸に、非IT業界向けのAIエージェント導入支援やスマホアプリ開発を手がける。 心理的安全性と持続可能なペースを重視したエンジニア組織づくり、非IT企業のAI活用について発信している。 愛称は「ヤマタク」。